いよいよ新生ＰＲＩＳＭが始動しました。私にとって始めての生岡田はどんな感じか？　そしてその岡田さんの加わったＰＲＩＳＭはどんな感じか？　ＰＲＩＳＭの今後を占うのに重要なこの２ｄａｙｓ。

思ったよりも仕事を終えるのに手間取り、あまり開場まで余裕のない時間に六ピ前に到着。なんとなくリハの音がまだ聴こえる。若干押し気味か？　で、先に到着していたＭ藤さんから「今日はピットイン始まって以来のおかしな座席レイアウトだ」と言う話を聞く。どれどれ、とリハが終わった頃に覗いてみると「・・・・・」ナンダコレ？　ナント、プレイヤーの後ろに３列くらい客席がとってある。その結果、プレイヤーと客席最前列の高低差はなく、距離も以上に近い。ほとんどクリニック状態。何かハコ側の事情らしいが、ヘン！　さらに３人の配置が、一時期やってみて不評だった万チャンが左、アキラさんが右、そしてベースがセンターというものになっている。右前に陣取った私めは、和田さんとクリニック的位置関係になっておりました。

で、恒例の（？！じゃない？）足元チェックですが、詳細は別途報告することにして、ここでは簡単に。
・和田さんはラックをはずしてバラしたという感じ。ギターはメインの他にサブがエボニー指盤のとメイプル指盤の２本。万チャンはいつもの感じ。で、注目の岡田さんですが、・・・いたってシンプル！　SWB（だっけ？）のベースアンプ一発にハーフUサイズのエフェクターが一個無造作に置かれていて、それの関連と思われるフットスイッチ２個とヴォリュームペダルがあるだけ。建さんの「ベーシストらしからぬ」セッティングを見慣れていると拍子抜けだが、考えてみると、フツーのベーシストって、こうなんだよなあ・・・。で、ベース本体ですがアンプ左側スタンドに白っぽいナチュラルのクルーズ・フレッテド５弦、右側スタンドに建さんのＴＲＢによく似た色の６弦フレッテド。ん？メーカーは？・・・よく読めない。・・・んーっ、ニューロテック？知らないなあ・・・、えっＰプロの別ブランドですって？　なーるほど。　で、ところで両方ともフレッテドなんですけど、あのぅ、フレットレスは・・・・。もしかしてフレットレス・レス？(^_^;)
　そうこうしているうちに開演時間となり、照明が落ちる。３人が登場。どれどれ、岡田さんってどんな人？　ん、ウォールナットっぽいベースを下げて登場。おお、フレットレスだ！　フレットレス・レスじゃなかった！(^^)　なんだかニコニコしていて感じのいい人だなあ。他の二人のことを気遣ってよく見ているし・・・。（対照的に他の二人は・・・(^_^;)ま、いつもの通りか・・・）

1st set
　で、注目の新生ＰＲＩＳＭ一曲目。聴き覚えのないコ−ド進行、ん？何だコレ？いきなり新曲か？和田さんの譜面台には聞いたことのないタイトルの譜面がのっているし・・・・。なんてあれこれ考えていたら、なんと新生ＰＲＩＳＭお披露目の一曲目はこの曲でした。
１．Morning Light
　ちょっとあれこれ考えさせるコード進行のイントロが終わると、和田さんのクリーントーンがおなじみのあのメロディを奏でる。なんだか新生お披露目の一曲目にコレを持ってくるというところに今後の展開にかけるメンバーの意気込みのようなものが感じられる。（ん？考えすぎ？いやいや、そんなことないでしょう）
　岡田さん（以下、治郎さん）以外の２人のプレイは最近の演奏スタイルそのまま（和田さんのギターはお馴染みのメイン）だが、治郎さんはというと、５弦フレッテドでコード、アルペジオ、オクターブを主体にところどころハーモニクスを効果的に織り交ぜていて、なんともインテリジェンスを感じさせる。なんだかモーニング・ライトがバージョン・アップしたような感じ。これはなかなかすごいぞ！　で、プレイスタイルはそうなんだけど、演奏しているときの雰囲気はと言うと、楽屋から出てきたときの雰囲気そのままに、他の二人に気を配りながらニコニコしながら演奏。ただ生岡田初体験のヤマケンが驚いちゃったのは、そのアクションの大きさ！　別にモーニング・ライトを弾きながらウィル・リーみたいなステップ踏んじゃったりするわけじゃあないんだけど、（ホント、あのオッサン、いつでも若いよなあ、あ、またハイラム・バンドで「イェーッ」っと行きたくなってきた）ゆったりと、しかし大きく上体を揺り動かしながらエモーショナルに演奏していく様はなかなか！　そしてスタジオ盤でいうとエレピ・ソロに相当する部分で注目のベース・ソロに入る。それまでのゆったりとしていた動きがだんだん早くなってくるにつれ指の方もスピードアップ。ぐんぐん加速してきてとんでもないヒートアップしたソロになってくる。おいおいお披露目ライブの一曲目からこれかい？　一体今晩はどこまで行っちゃうんだろう？と思わせるくらい。
　ソロが終わると一転、またゆるやかな流れに戻り、エンディングを迎える。う〜ん、これはすごいことになりそうだ。ほとんどこの一曲で新生ＰＲＩＳＭに対する不安感は消し飛んでしまった。

ＭＣ
　万チャンがマイクを手にごあいさつ。新メンバーの紹介をしつつ、ウルトラテクニカルだったソロについて二人から「いやあ、ベースソロは炸裂してましたなあ」「リハでは隠してましたなあ」との声が。どうやらリハではここまでは弾きまくっていなかったようだ。
　新生ＰＲＩＳＭとして２〜３月で１２曲のレコーディングを終えており新作の準備をしているという話が出る。もう、期待しちゃいます。その中で治郎さんはさっそく作曲にも取り組んでいるとのことで、次は早速その治郎さんのオリジナルから。

２．M-1（曲名未定 J. Okada）
　曲目未定。曲名を一般公募していもいい、とかいってました。治郎さんは「Network」なんかどうでしょう？と言ってました。
　曲の感じはゆったりとした早さの変拍子が基調で、ベースはアルペジオ主体のあったかみを感じさせる雰囲気の中にときおり混ざるやたら早いギターとのユニゾンフレーズが特徴の曲。ホールズワースがやってもなんの不自然さも感じないような曲。
　イントロ〜テーマ（Ｇ）〜ソロ（Ｂ）〜ソロ（Ｇ）：リバーブ薄目〜テーマ〜簡潔なｄｓソロ　という展開。なんともインテリジェンスが感じられる。
　で、一般公募してもいいとか言っていた曲名ですが、そうだな、ヤマケンがつけるとすると・・・、「春雷」（おお、和文で来ました）かな？

３．Ｄｅｊａ　Ｖｕ
　和田さん、ギターをメイプルのサブに持ち替え、お次はおなじみのこの曲。この曲は最近のライブでの雰囲気を生かしたプレイになっている。治郎さんはというと、それがまた不思議なくらい自然にバンドに溶け込んでしまっている。エフェクトは足元チェックからも分かるように超控えめで、音量もトーンもこれまた超控えめなのだが、バンドとしてのアンサンブルのバランスは悪くない。トーンはエッジがきいたものではなく、そうですね「端正な音」とでも申しましょうか、そういうイメージの音です。
　それにしてもセッションの延長みたいな雰囲気で「課題の曲を弾いてます」、的な感じが微塵も感じられず、すっかり自分のものとして入れ込んで弾いてくれているのがこちらにも伝わってきて、バンドのファンとしてはこの上なくウレシイ。
　この曲においてＰＲＩＳＭのベーシストとして与えられている空間をどう処理するか？、という課題になんの迷いも見られず、バンドとして自然に、しかしすっかり自分なりの解釈で高度な演奏をしてしまっているところにこの人の豊かな感性と才能を想像させられる。
　ここで治郎さんフレットレスに持ち替える。
ＭＣ：
　治郎さんのプロフィール紹介：３３歳、千葉生まれ、横浜育ち、千葉在住。月の半分はピットインにいるんじゃないかというくらいライブの多い人。唄の仕事（高橋真梨子さんだって）も持っているようで、イ○チ○官僚さんによると年間２百数十本のライブをこなしている超売れっ子さんだとか。メインバンドはＷＹＳＩＷＹＧかな？　趣味は３Ｄだそうで、パースペクティヴなプレイに関係ありや？なにやら賞もいただいたことがあるとか。
　と、ここでＰＣの話題から、最近和田さんがパソコン（windows）にはまり始めているハナシになる。これまで頑なに拒み続けてきたらしいが、何が契機だったのか、ここにきて急速に始めているらしい。ただ、そこで普通に始まらないのが和田さんらしいと言うか、windowsを立ち上げる前に（というか立ち上がらなくて、というほうが正解か？）やたらとｂｉｏｓをいじくり倒していたらしい。治郎さんも音楽、映像関係では珍しくwindows派だそうで、レコーディングの時期にはやたらとバイオスが話題になっていたらしい。一方万ちゃんはというと音楽業界の共通言語とも言うべきマック派なので、二人の会話にはついていけなかったとか。しかしwindows始めたところでいきなりバイオスにハマルというのは確かに尋常とは言いがたいなあ・・・。

４．Shadow of the jungle gym
　建さんがいなくなったことによる大きな変化は�@建さんのベース、ヴォーカルがない　�A建さんの作品が演奏されない　そして�B建さんの打ち込みが流れない　ということになり、この曲もシンプルな構成ながらこれまではバックトラック付だったがこれからは３人の演奏となる。（そういう音の薄さの要因があるにもかかわらず、和田さんのセットからはギター・シンセが外されていた。これを機会にさらにシンプル化を進めようというのだろうか？）
　で、打ち込みレスのこの曲なのだが・・・。個人的には特に薄さを感じなかった。これまでのＰＲＩＳＭらしさを尊重した雰囲気での演奏。ただ和田さんのパートのテーマ部分の後半はオーバードライヴ系の音色だったのが毛色の違うところかな？ベースソロは暖かさを感じる音色だった。後半のサビ部分の最近のライブアレンジではお馴染みのハモリの部分はさすがにちょっと建さんのときほどぴったりとは決まらなかったが、これは時間が解決する問題だろう。

　和田さん、メインギターに、治郎さんクルーズに持ち替える。
５．万１（仮題 M. Kimura）
　別に万が一に備える曲ではなくて、万ちゃんの今回録音の一曲目ということで「万１」という仮題になっている曲。
ディストーション・ギターによるヘヴィなメロ、複雑なカッティングの変拍子が特徴的な曲だった。

さ〜て、一部を終えた印象ですが、
・新曲についてはもっとテーマがはっきりしたものが欲しいなという気がしたが、しかし新鮮な感じだった。
・治郎さんについては、まず曲に対する理解力はすさまじいものを感じる。ＰＲＩＳＭおはこの曲でも随分前からなじんでいるような安定したプレイで、しかもその中でのテクニックの炸裂もすごい。建さんが言うような「曲で何を伝えるか？」というような解釈はどうだかわからないが、交代した最初のライヴでこれですから、まあ文句ないでしょう。
　さて、そんなことを考えているうちに２部です。
2nd set
１．Helicoid (J. Okada)
　またしても治郎さんの曲。螺旋状の面という意味のタイトルだとか。helicoid：　《形》螺旋形の,《名》螺旋体。とあった。なるほど。

　ところで治郎さん、今まで作曲はしていなかったそうで、当然発表されたものはないようです。ＰＲＩＳＭに入っていきなり作った曲にしてはどれもよくできていたなあ・・・・。他の２人もがんばらなきゃ！

２．Napoli (A. Wada)。
　なんて思っていたら和田さんの曲がきた。治郎さんはフレットレスを手にする。ところでこれはしっかりタイトルが決まっているが、どういういきさつで決まったんだろう？（あんまり聞かない方がいいかな？　誰です、そうそうって頷いている人）・・・まさか、まさか「スパゲッティ喰ってたから」なんて言わないよなぁ。
　甘めの音色のギターが奏でるテーマ〜フレットレスの弾くテーマ〜Ｇソロ・・・・と続く。ソロではＴＲＩ−Ｏ．Ｄ．の歪みを使っていた。
　この曲はレコーディングではキーボードが入っているそうで、弾いているのは治郎さんの仲間の新澤さん。５月１日のライヴでは新澤さんも招いて演奏するようです。
　（と、当日のＭＣを聴いて理解していたのだけど、レコーディングのキーボードは違う人らしいです。そういう風には聞こえなかったが・・・）

　ここでメンバーから再び治郎さんについてのコメントが入る。治郎さんはともかく間違えない人だそうで、新曲もそうだが、ＰＲＩＳＭの従来からのレパートリーについても同様だそうで、他の二人が間違えても治郎さんだけは間違えないらしい。そういう時に「いったい俺たちはこれまで何をやってきたんだろう？」と思うとか思わないとか・・・・。
　そういえば同じくＭＣの中で Ideogram という曲を「こたつ」と呼んでいると言う話が出た。これはライヴ常連のみなさんには周知のことだが、ヤマケンはてっきり激しい曲で、演奏するとあったまるからだと決めてかかっていた。が、この日初めてそのワケを知りました。こたつといっても問題はその電源コードで、あの手の発熱する容量のでかい電気製品の電源コードは布巻きの太いものじゃないですか、で、和田さんお手製の巻き巻きシールドもそれみたいな感じで巻き巻きで太かったのでこの曲がこたつと呼ばれているとか・・・。う〜ん・・・。
　（とこれもＭＣから理解していたが、実際は当時の巻き巻きコードが赤黒の二色で、まさしくこたつの電源コードみたいな柄だったから、というのが正解らしい。とかく日本語は難しい、と自分の日本語の理解度に自信を失いかける(-_-;)）
３．Spiral Blues
　比較的最近のレパートリー。これも確かに３人でやるにはいい曲。治郎さんのプレイは建さんよりちょっとバッキング時の音数が多め。ベースの高音部を使ったサビのフレーズ部分はエフェクトが殆どかかっていない音なので建さんみたいに際だった音ではないが、それほど違和感はなかった。でもちょっと物足りないかな？　いずれにしてもなんだか今日のＰＡ、やたらとベース絞ってるんじゃない？すごく小さい。

４．Firefly
　Ａメロ（でいいのかな？）最初の部分の治郎さんのバッキングはちょっとこの曲にしては音数が多め、でも雰囲気は悪くない。ハイポジションを使ったアルペジオは踏襲しており曲の持つイメージを尊重していると感じられた。（アルペジオは少しずつ建さんとは違うが・・）。
　アキラさんはもう完全にこの曲を例の変態エレアコで弾くことはなくなっちゃったのかな？

５．Ideogram
　で、そのこたつがきました。治郎さんのこの曲でのプレイは？・・・・・カンペキ！　すごい！　ソロもすさまじい。

Encore
　治郎さんクルーズを手にする。和田さんの美しいアルペジオが響きわたる。
Karma
　この曲は和田さんの自他共に認める代表曲の一つだろう。セッションなどで演奏される機会も多いのだが、なかなかサイド・ギタリストやキーボードのいない編成では満足できないことが多いのだが、この三人ではどうだろう？
　ギターがアルペジオからメロディに移った瞬間、治郎さんがアルペジオのバッキングに入る。おお、音が全然薄くならない。　それ以外の部分でも治郎さんの空間の埋め方は巧みで、この曲のクォリティをワンランク持ち上げているように感じられた。断言します。３人で演奏されたKarmaのなかで私はこの３人のが一番好きでした。

　ということで、建さんなしのＰＲＩＳＭはどうなっちゃうんだろう？という心配の中滑り出した新生ＰＲＩＳＭの出帆は順調でした。明日のライヴもメニューが違うとのことなので期待しちゃいます。

　（第二夜へ）