PRISM (Plus 1) 六ピＬＩＶＥ
和田アキラ（Ｇ）：、岡田治郎（Ｂ）、木村万作（ｄｓ） plus：新澤健一郎（key）
六本木ピットイン ２００３．３．２７(Ｔｈｕ）
初期４枚のアルバムが紙ジャケ、未発表音源追加＆リマスターでリリースとなり、今年はその後も嬉しい計画が盛りだくさんのＰＲＩＳＭ。バンドの状態もいいだろうな。ぜひここらへんでライヴを聴きたい、と少々無理して行って来ました六本木ピットイン。（最近はホントに無理せんと行かれん(･_･)）
今日は早く帰るぞ！と周囲に（と自分に）宣言して、着々と早め退社体制を整えていた矢先、ヨーロッパからメールが入る。日本の夕方が向こうの朝、というのはタチが悪いよねえ、「さあ帰るぞ！」なんて思っていると向こうは「さってと、このへんから片づけっかぁ」なんて感じでメール送ってくるからねえ・・・。尤もこれがアメリカとなると立場は逆で、向こうの夕方がこっちの朝なんで、むこうが帰り支度しているころにメールとか電話とか送っちゃうんだよね。 あ、ハナシが逸れましたが、そう言うわけでスタートが遅れ、開演時間に間に合うか微妙なところになってしまった。ケータイで乗り換え案内を見ると六本木着１９：３５．う〜む際どいが、どうせ若干開演は押すだろうからなんとかなるか。六本木駅についてから走ったり歩いたりで汗をかきながらピットイン前着。お、音はまだきこえない。よしよし、入り口でお金を払うと照明が落ちる。とりあえず席はシモさんがここいいですよ、と案内してくださって、楽屋入り口前をキープ。汗をふいているうちにメンバーが登場、一曲目から新澤さんも入っている。
即、ギターのアルペジオが始まる。うわあ、まだ汗も引かないうちからいきなり♪ Beneath the Sea ♪と来たか！そんな私に和田さんは容赦なく（当たり前だけど）ぐんぐんと曲を引っ張っていく。ふと気づくとバックの壁２面にはなにやら映し出されている。ＣＧで作ったグラフィックがあれこれと動いている。これかあ常連さんたちの間で話題になっていたのは・・・。画面は時々和田さんの手元どアップになったり、メンバー全体の様子だったり。グラフィックの動くものについては賛否両論あるだろうけど、あまり和田さんの手元が見えない席に座っていたので、映像での手元どアップは割と嬉しかったりする。しかし改めて見てみると、和田さんの手元どアップ映像ってのはこりゃもう一つの作品というか、これだけ見て一日過ごしていても良さそう。すさまじいものだなあ、と改めて感じ入った次第。ＤＶＤだったらマルチ映像も簡単にできるから、ＰＲＩＳＭみたいなバンドはお金かけずにすごいライヴ映像のＤＶＤができちゃいそうな気がした。しょうもない演出なんて百害あって一利なしだもんね、こういうバンドには・・・。 で、演奏なんですが、これがまたすごいテンションで展開。ギターはもともとアドリブ以外のパートだってえらく大変な曲なのにバリバリに弾き倒し、もともと２人のギタリストのパートとサックスのパートまでをまとめて面倒見ちゃっている。スタジオ盤ではクリーントーンのギターのソロパートだった部分が４ビート調になるのは最近のアレンジ。この曲に４ビート調を入れるのはその昔のライヴアレンジでもやっていたみたいだが（実際ライヴ・アルバムに入っている）この部分ではなかった。ところで二人ぶん面倒見ちゃってるのはギターだけではなくて、キーボードももともと久米、伊藤両氏のプレイをかなりの割合でカバーしていて大忙し。エレピソロが終わったかと思えば今度はムーグのソロが始まるといった具合。・・・それにしても、こんな曲を頭っから持ってくるってことから、今のバンドの状態に自信を持っていることが感じられて嬉しい。 ところで楽器ですが、和田さんは最近のメインギターになってきているというＰ-projectの”柘植（つげ）”ではなく、長きにわたってメインギターだった方を手にしている。治郎さんはVestaxでした。
ＭＣ（万作）： 「昨日今日と特設の５．１ＣＨＳＡＣＤシステムを会場に置いて、演奏前にめでたくＳＡＣＤで再発となったＰＲＩＳＭの初期４作をかけている。」とのこと。（遅刻ぎりぎりの人、私、にはそういうご褒美はありませんでした）
「今日は”２”の線で行くんで、曲、どんどんやるんでよろしく」（ホントかなあ・・・）
次は♪Beyond the Night ♪やります。
治郎さんは引き続きVestax、和田さんも旧メインギターのまま。それはそうと、右ＰＡスピーカー真ん前で聴く限り、今日の和田さんの音は、�．妊�ストーションかなり強め �▲�リーントーンはこもり気味。これは音を作っているギタリスト側ではなく、ハコ側の問題じゃないのかなあ？ちなみに右側に座っちゃうと、左側に位置するキーボードの音は殆どきこえておりませんでした。で、この曲のところでなんでギターの音のことを書き始めたかというと、この曲では和田さんが楽しそうにカッティングに勤しむ（？）ので、もしかするとそのカッティングの音があまり楽しめないんじゃないかとちょっとばかし不安になったからなんです。で、プレイですが、Ａメロ部分、スタジオ盤ではコンプを効かせたストラトサウンドだが、今日もライヴではＨ＆Ｋアンプの３つのチャンネルのうち一つを使ってセッティングした抑えめの歪みの音。今までよりもちょっと歪み多めじゃない？という感じ。
ドラムソロのスペースが来る。豪快なソロのバックで今日もギターのカッティングが冴えていて気持ちいい。続くエレピソロでも引き続き和田さんのクールなカッティングが演奏をタイトなものとし、それに負けじと治郎さんのベースはブリブリとうなり、万ちゃんのドラムはビシバシと決まっている。・・・（独り言・・・う〜ん、ここのエレピ・ソロやたら長いな・・・） 続くギターソロは空間的なディレイを効かせたサウンドだった。ん？今日は随分ディレイが深めにかかってない？
ＭＣ（万作）： 今日の昔懐かしい曲、一曲目に続いて次の曲は♪Dancing Moon♪ 。
治郎さんベースをアメ色の５弦フレッテドに持ち替え。（ん？このベース、私はお初かな？どこのだろう？）
あ〜、ライヴでこの曲を聴くのは随分前の和田セッションでバカボンさんたちと演ったのを聴いて以来かなあ、久しぶり。（今のメンバーになってからは去年の１０月に演っているが、私はそのときは行かれなかったのです） この曲はというと、イントロのリズミカルなカッティングがスタジオ盤では印象的ですが、今回のライヴのアレンジでは和田さんはカッティングではなくリズムは他のメンバーに委ねてゆっくりしたアルペジオ的なアプローチだった。（個人的にはここはシャープなカッティングでいって欲しいところだが、これはこれでいい感じだった） keyはエレピサウンドでこの曲に臨んでいた。（他の音も使っていると思うけど、何しろ左ＰＡからきこえるkeyの音はこちら右ＰＡ前では殆どきこえませんのじゃ）イントロから印象的はテーマへ。ん？なんかちょっとオリジナルよりもスタッカートが強いかな？これって昔の曲を今の歪みの音で演る時の半ば宿命なんだろうか？和田さんの今の音のセッティングって、和田さんが弾くと音がきれいだから気がつきにくいけど、あのフィードバックの効きからも想像できるようにかなりゲインを上げて歪ませています。（ギター・クリニックの時に弾かせてもらったらやたらノイズばっかり出てしまって、このセッティングであのきれいな音を出すってのはすごいことだと驚いたことがあります） ということで、今のセッティングで昔の曲を弾こうとすると、曲によってはかなり意識して休符を入れるというか、ミュートして音を切ってやらないといけないのじゃないかと想像しているんです。（和田さんに聞いたら「違うよ〜、そう言う風に弾きたかっただけ〜」とか言われそうな気もしますが・・・）
途中のギター２本で掛け合いの部分はギターとエレピが掛け合い。ギターがわりとエグイフレーズを連発すればエレピも負けじと全身を揺すってのプレイで応酬。 そのあとのｓａｘの部分は和田さんにしては珍しい部類の思いっきり深いディレイをかけた空間系の音でギターがプレイ。最後のテーマの後にはディレイにヴォリューム奏法を絡めたギターでエンディング。これが最近のアレンジなのかな？
ＭＣ（万作）： 通常ＰＲＩＳＭのライヴは５曲の２部構成ですが、今日は前半にBeneath
the Seaという２曲扱いの曲をやったので、勘のいい人はもうおわかりだと思いますが、次の曲が前半最後の曲になります。（別に勘が良くなくとも・・・、そのままやん）
という前置き説明に続くは最近のアルバムから♪Phoenix Island♪ 。治郎さんはVestaxに持ち替え。 ＳＥから始まり、バックの壁面には引き続きイメージ映像が映る。 イントロの規則的なシンセの音はＣＤでは打ち込みだが、ライヴでは新澤さんが手弾き。これがなかなか緊張するらしく、アルバム発表記念ライヴの時にはわりと引きつってプレイしていたのを思い出す。今日も引きつってはいないが、なかなか他の時とは違って慎重な面もちという感じだった。テーマ部分を１コーラス終えたところで４ビートのパートに移行。ここで新澤さんはＡ．ｐｆに移動。打ち込みフレーズ手弾きの鬱憤を晴らすがごとく、ピアノのアドリブプレイで壊れまくる。プレイしている人、気持ちよさそう。一方その間のギターのバッキングときたら、なんというか両手揃って大忙し。右手は少しも同じリズムを刻まないし、左手は一秒としてネックの同じフレット付近におらず、あちこち動き回っている。 その後のテーマに続くサビの部分でｄｓは「ここってこんなに手数多かったっけな？」と首を傾げるくらい叩きまくっていた。 そしてラストのギターソロときたら、もうピックも溶けんばかりの高速ピッキングを絡めた高速フレーズの連発！ やはり最近の和田さん、調子良さそうだ！ 今日は最後までこんな感じの弾きまくりで行ってしまいそうな予感がする。よしよし。（個人的には一時期よく聴かれたレガートとアームをからめたホールズワース風プレイもやってくれると嬉しいのだが、ここ１０年くらいは和田さんはそういうプレイをしない傾向になっているのでそれはそれでちょっと残念。前に「最近ピッキングは増えましたね」と言ったら「指の力が弱ってきたからかな？」と言っていたり、「アームアップを入れたプレイも聴きたい」という人の意見に対して「チューニング狂いやすいから、あんまりやりたくないんだよな」と言っていたりするところから、今後あまり聴く機会はないのかもしれない。
というところで１部は終わり。しばし休憩です。久々の六ピだったので常連さんのみなさんにご挨拶。と、昨日今日と今回の初期４枚の再発プロジェクトの発起人たるユニバーサルの小澤さんが見えているということを聞き、探してご挨拶。まずは再発リリースのお礼の上、今後のハナシをごにょごにょごにょ。今後も頑張っていただくように激励。嬉しいことに再発盤の売れ行きは予想を上回る好調ということでした。この勢いで杉野講堂ライヴもリリースして欲しい！などと言っているうちに２部が始まる。２部も新澤さんは最初から登場。
治郎さんはVestaxを手にするが、サウンドチェックの時の音がオクターバーっぽい。ん？使っている曲あったっけな？チェックの時だけ？ 和田さんは１部に引き続き７号機、旧メインギターを手にする。（私にはこちらの方がなじみが深いので自然。）さて、２部オープニングは？ ♪Memory of the Moment♪ 。このメンバーになって何回かこの曲をプレイしていますが、もうすでに自分たちのものとしてしまった感じですね、少なくともずっと前のPRISMANIA
DAYの時に演奏したときより（あのときは建さんがベース）もぎこちなさがないように思えます。
ギターソロはオリジナルを生かして始めつつだんだん今の和田さん色のプレイにしていくようなアプローチで、こういう解釈の仕方は私も自然に受け入れられて好きです。keyソロはmoogでプレイしてました。エンディングではギターのコード弾きにアームをちょっとかましたりしてひと味付けてました。
さて、治郎さんは持ち替えのために壁際へ。アメ色５弦を持って戻ってくる。続いての曲は私は来られなかったが少し前にも演奏したらしい,、懐かしの曲の中から ♪Spanish Soul♪。ここで新澤さんは意外にもA.Pfの前に座る。はて、どんなアプローチなのかと思いきや、原曲（セカンドアルバム参照）に比べるとかなりラテン色の濃いアレンジとなっていた。ｄｓもところどころでティンバレスを思わせるようなリムショットを絡めていて、ここまでくるとSpanishというよりもCuban
Soulという感じかも。ギターソロに続くkeyソロもピアノを使ったラテンタッチもものだった。そういえばもともとこの曲はギター２本でテーマをプレイしていたが、今は１本でどうしているかというのも気になっていたが和田さんは上のフレーズを弾いていたようでした。ただ、もしかしたらピアノ等でハモリのフレーズを弾いていたかもしれませんが、なにしろ右ＰＡスピーカー真ん前というポジションではソロ以外のｋｅｙプレイは殆どきこえないのでわかりませんでした、悪しからず。
この曲の思い出というと、個人的なことで恐縮ですが、和田さんとギタークリニックでちょこっと一緒にプレイしたこと。友人カルロスから譲り受けたヤマハのＱＹ１０という簡単なシークェンサーで初めてまともに打ち込んだ曲ということ。それからこの曲が収められているアルバムがリリースされた当時、私は一応受験生だったので行きたかったＰＲＩＳＭのライヴに行かなかったんですが、その時の様子を伝えるPlayerマガジンの記事で「ラストのアキラとモリのソロの掛け合いが延々と続き一晩中続くのかと思えた」みたいなことを書いてあるのを見て地団駄を踏んだことなどでした。（その直後、モリ脱退！）
ＭＣ： （万作）今の曲は５月発売になるセルフ・リメイク・アルバム、Present
1に収められていますが、そちらのリテイク・ヴァージョンではパーカッションをゲストに迎えています、とのこと。なるほど、それでああいうアレンジだったり万作さんのリムショットだったりしたわけですね、納得。
（和田）「イヤイヤイヤ〜」（出ました！ 和田さんおきまりの出だし！） とりあえず暑い！ キンチョー感むらがる（？！）演奏で・・・・。（なにやら怪しい雰囲気になってきた） 昨年はいいこと悪いこと、いろいろありまして・・・、いいことはなかったかな？悪いことと言えば１１５日ほど入院しまして・・・・（以降しばし入院ネタ続く） 今はツキイチで通院中、ステロイドを服用している。その副作用で太ってる、ホントは違うけど・・・。（どっちだ！） 病院仲間がいろいろできて、新澤さんも軽い糖尿であることが発覚。というのも見舞いに来て血糖値を計って欲しいとねだる人が多かったらしい。
こんどは九州ソロツアーネタ。一日に２０曲もやらされて大変だったとか。しかも「あまり座るな」とか注文もあったりして大変だったみたい。
和田さんのトークは「怪」調でまだまだ続く。水野さんの年齢は？ 新澤さんの大学院での専攻のハナシ（液状化現象！）等々。
この辺で治郎さんへふられる。ベスト盤（セルフリメイク）では歴代のPRISMナンバーを弾き倒したが、とても楽しかったとのこと。
（和田さんまた登場）昔の曲は難しくて、オレがなかなか弾けなかったのに２人はあっさりと弾いてました。
・・・・・、なにやら収拾つかなくなってきた〜、と思ったそのとき、
（治郎）：・・・・そろそろ、曲、やりませんか？
偉い！(^^)//""""""ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ よくぞ言ってくれました。こういうときのけじめ、大切ですよぉ。
続く曲は新しい部類の曲で治郎さん作 ♪Helicoid♪。治郎さんはアメ色。この曲は今のメンバーになってからの曲だし、毎回のように演っているのですっかりこなれている感じです。ギターソロはここでも偉い勢いで弾き倒しでした。
続いては治郎さんVestaxに持ち替え、♪Napoli♪。keyはA.Pfに向かう。ギターが奏でるテーマはシングル（たぶん）に軽い歪み＋ディレイという感じの音色。２コーラスめの後にピアノ・ソロ、さらに続いてベースソロ。治郎さんフレット上を縦横無尽に駆けめぐってました。エンディング近くのギターソロでは深い歪みの音色を使ってのプレイでした。
そして、２部最後の曲は治郎さんがアメ色に持ち替えて、♪Suspensible the 4th♪。新澤さんは意外にもピアノに向かっている。これはちょっと新鮮なアプローチだったが、これはこれで悪くなかった。ギターソロに続いて、ベースソロがあり、再びギター。そしてmoog vs ギターのソロ合戦が延々と続き、曲の最後を迎えた。
ふうううううう。なんか凄い満腹感。座った場所のせいか（ハコのせいか）、音はあまりよくなかったが、演奏はとてもよかった。選曲もよかったし・・・。（トークはちょっと脱線気味だったが） が、しかしここで満足してはアカン。もう一回呼び出さねば・・・拍手拍手・・・、ん？なんか拍手しない輩が多いなあ。前にも書いたと思うけど、プレイヤーは拍手が少なければ別にアンコールに出てくる義務はないわけであって、もし客としてその日の演奏が気に入ってもう少し聴きたいのなら拍手してその気持ちを表現しなきゃ。某アルフィーのサポートドラマーのファンじゃないんだから、よろしくお願いしますよ。
ということで拍手は少ないながらもメンバーは出てきてくれました。ありがとうございますぅ。
ＭＣ：（万作）４月５月は六ピのライヴはお休みして６月１４日に新澤君を入れて演ります。あと５月にPresent
1、７月にPresent 2というセルフ・リメイク・アルバムを出しますが、７月にはその発売記念ということで、多彩なゲストを呼んで２daysをやる予定です。
アンコールは治郎さんVestax、新澤さんピアノで ♪Firefly♪でした。和田さんのギターのクリーントーンが澄みわたっていて、前半の濁り気味の音とは雲泥の差。キレイ、深い、アタック明瞭ということなしのすばらしいトーンだった。
それにしてもこの曲は絶対打ち込みでやっていたときよりも今の方がいいな。エンディング近くの和田さんのソロもサイズを気にしながらなんとなくスペースを埋めていたような印象があった依然とは全然印象がちがって、今は完全に自信を持ってフレーズの一音入魂という感じです。やはり、PRISMはそういう方が似合っていると私は思うのでありました。
ということで、何となく読んでいて感じられたかもしれませんが、この日の演奏はとてもすばらしいものでした。バンドとしての状態が今はいいのだろうな、と感じられて嬉しい限りです。まだ最近の演奏に触れていらっしゃらないファンの方、PRISMのファンじゃなくてもFusionのファンの方、質の高い音楽に触れたい方、ぜひ一度聴きに来てみてください。好き嫌いはあるでしょうが、何かしら得るものはあると確信します。
あと、最後に一言。 やっぱりアンコール聴きたいなら
ちゃんと拍手、しましょうね！！