2002の総まとめ　予選

　（ノミネート作品）

　今年も秋が訪れ、ぼちぼち残り少なくなってまいりました。ということでぼちぼち始めます、
　０２愚者楽BEST WORKSノミネート
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もう暮れも押し詰まってきた師走の某日、ようやくノミネートを終了しました。

Giant III / Giant
セッションギタリスト〜現在は売れっ子プロデューサーのダン・ハフ率いるハードロック・バンド。９０年代初頭に数枚のアルバムをリリースしてから音沙汰がなかったが、ここへ来て、「まさか」の復活。 この久々のサードではキーボードのアラン・パスクァが脱退し、トリオになっている。（ダンがキーボードを兼任している）　９年ぶりだというのにサウンドは全然変わってない！
　そして日本盤のみの特典、ライヴの４曲。以前から聴いている人ならお馴染みの３曲とベック（スティーヴィーの、というべき？）の哀しみの変人じゃなくて恋人たち。　弾きまくりギター、ハイ・トーンのヴォーカル、ダン・ハフそのものです！

my best / MEJA
スウェーデンの若き歌姫としてデビュー。来日公演もあったりして、何曲かヒット曲もあったメイヤだが、しばらくアルバムとしてはブランクがあり、最近久々にスタジオ盤のアルバムをリリースした。ビビッドな歌声が魅力。私はファーストに入っている「レインボー」が好きでしたが、その後あんまりフォローはしておりませんでした。で、これはベスト盤。代表曲を網羅していて、今聴くと正直オリジナル盤を聴く気がしなくなってしまう。だってハズレ曲がないもんね。（失礼(^^ゞ）

Live Across America / The Rippingtons featuring Russ Freeman
　元祖、スムース・ジャズみたいな存在のリッピントンズ。ＧＲＰはリストラされたのかと思っていたら、どうやらあの時期あの手のレーベルが皆セールスに走ろうとするのに嫌気がさして脱出をはかってしまう人が増大し、彼らもその中の一部だったらしい。　流行りものになびきやすいのは日本だけじゃないみたいね。　で、このライヴ盤。いかにも彼らの演奏って感じだが、何度か見たステージでよくわかったが、彼らの生は熱い。しかし、まさかジミ・ヘンのナンバーまで登場するとは・・・。
　レーベル脱出とほぼ同じ時期にそれまで長く連れ添ってきたパーカッションのスティーヴ・リードの音が聴かれないのが残念だが、それを考えてもなお、いいライヴだと思う。

note / 大貫　妙子
　大村憲司さんが亡くなったときに「困る」と言っていた女性シンガーが二人いた。それがこの人とやのアッコちゃん。憲司さんを失った後のギター面での一つの対策として考えたのだろうか、この山弦のふたりとのジョイントという荒業は？
　こんなことをやられては私も「困る」。すばらしすぎる！　山弦のバッキングに大貫さんの「間」と歌声がばっちりマッチしてしまい、あまりにもハマリすぎているくらいハマッテいる。

Silver Shoes / 鳥山　雄司
　これはリマスターＣＤです。（でも初ＣＤ化、かな？）私の愛聴盤の一つでレコードでよく聴いていた一枚。まだプロになって（学生だったけど）間もない鳥山さんがロスへ渡り、ラーセン−フェイトン・バンドと共演したアルバム。バジーもバッキングとしてクリアーなカッティングをそこここで聴かせてくれており、一部で「如何にも！」というソロプレイを披露している。鳥山さんの作品の中では比較的隙間のある作品のようにも思えるが、それはニール側の意見というか、アドバイスに従った結果と聞いている。このくらいで私も良いと思う。

Split Decision / Steve Morse Band
　今や「ディープ・パープルの」と言った方がいいのだろうか、スティーヴ・モーズ・バンド名義の久々のアルバム。ＤＰ加入以来忙しくて仕方なくなってしまったらしいが（イアン・ギランが喉不調になって、その間少しは時間がとれたかも）
　エレクトリックとアコースティックを別々に発表しようとしていたものをアイテムが集められずに２イン１にしてしまったため、若干の不統一感は否めないが、しかし決して作品の質を落とすようなものではないと思う。

The Well / Jennifer Warnes
　ジェニファーの新作がいつの間にか出ていた。いつもながらにささやきかけるように、しかし力強い歌声が語りかけてくる。前作の「ザ・ハンター」からもう１０年くらい経過したかな？　前作はドナルド・フェイゲンがプロデュースした曲があったりして部分的にＮＹ的な部分があったりしたが、今回はそういうのはないらしく、統一感がある。

Happy People / Kenny Garrett
　　ジャズ寄りフュージョン系のサックスプレイヤーの最新作。マーカス・ミラーがプロデュース＆一曲のみ演奏で参加。試聴機で聴いてみて、なかなかよかったので買いました。　日本びいきだそうで、「赤トンボ」、「翼を下さい」が収録されている。全体にモダンな演奏で音がクリアー。濁りが感じられず気持ちがいい。


Best Groove Selection / Hiram Bullock
　ご存じ！太ったり痩せたりのブルースロックがルーツのギタリスト、ハイラムのノリノリの曲を中心に２４丁目バンドからの選曲も含めたベスト盤。ほぼ同時に買ったマイケル・マクドナルドのベストもそうだけど、やっぱりソロ名義だけじゃなくて、その人がいたバンド時代の代表曲があるとファンとしてはそのベスト盤の持つ意味が一層重くなるようにな感じられる。
　それとこのアルバムって日本のレコード会社にハイラムの大ファンがいて、その人の熱意で完成した日本企画だそうで、そういうのっていいよね！

The Pecan Tree / Joe Sample
　おら、もうあれやれ、これやれって言われんのや〜だっつ〜の！　と言ってメジャーとおさらばしてしまったというジョー・サンプルの最新盤。のっけからジョー・サンプル丸出しで素敵です。それとジョーが見つけたんだろうか？何曲か歌っていて日本公演にも同行した女性シンガー、まだ２０そこそこだっていうのに歌がうまくて深い。いいシンガーを見つけたモンだ。この人にも今後注目かな。ん？なんて人って？ん〜、調べときます。（それじゃ注目しようがないじゃん(-_-;)）

The Voice of / Michael McDonald
　こんなのリリースされているなんて知らなくて、中田氏のＡＯＲなんて本を読んでいて初めて知った。ドゥービー時代とその直後あたりは好きだけど、その後のことは知らない、という私のようなファンにはちょうどいいんじゃないでしょうか、ちゃんとそのドゥービー時代の曲から入っています。それにしてもこの歌声はホントにワン・アンド・オンリーなんじゃないかな。

Jing Chi / Vinnie Colaiuta, Robben Ford and Jimmy Haslip
　ロベン・フォード、最近は生まれ故郷じゃないけど、そのルーツたるブルースの方、一辺倒で、かつてのようにロック色の濃いフュージョン系のプレイを懐かしがる声も少なからずあったと思うんだけど、ここではその要望に応えて、というよりもそれ以上にハードに切れ込んだプレイを聴かせてくれている。ヴィニー・カリウタはとにかくとして、ジミー・ハスリップ（イエロー・ジャケット）がこういうプレイをするとはちょっとというか、かなり意外でした。黙って座って迫り来るギターにずたずたに切り裂かれる快感に浸りましょう。(^_^ﾒ)

New Road, Old Way / T.Square
　う〜ん、なんて自然体なスクエアなんだろう。果たしてこれをスクエアって呼んで良いのだろうか、なんてまじめな（スクエアな？）スクエアファンは悩んでしまいそうなアメリカンなアルバム。ま、たまにはこういうのもやりたくなるってことかな？


Reflector / WYSIWYG
　最近はＰＲＩＳＭのサポートにお世話様の新澤さんが矢堀さんらと起こしたバンドの二枚目。前作は二人がイーブンにやっていたみたいだけど、今回は新澤さんがかなり頑張っているみたいな印象。ＰＲＩＳＭのライヴでもお馴染みの二曲も入っている。なかなかの快作でお気に入りです。
　今はＰＲＩＳＭのベーシストになった岡田治郎さんもメンバーだが、その治郎さんの音はライヴのようにおとなしくなかなか良くきこえないのとは違い、また逆にＰＲＩＳＭの "In the Last Resort" みたいにブンブンに入っているのでもなく、ベーシストとして非常に健康的なフィーチャーのされ方をされていて、こういう音で収められている治郎さんのプレイを聴きたかったんですよ、と言いたくなるようないい録音でした。

Bona Fide / Wishbone Ash
　うそでしょ？　アッシュの新作？　なんか最近妙に活発じゃぁありませんか？　だって、アンプラグドとライヴのＣＤとヴィデオ（全然中味が違う）　とファンでも言ってしまうくらい最近元気なウィッシュボーン・アッシュのスタジオ録音新作。ファンに随喜の涙を流させた（ちょっとオーバー？）前のスタジオ新作である「イルミネーション」から５年かあ・・・、その間に相棒のＧは独立してソロ〜新バンド結成へ、Ｂ＆Ｖｏルもソロへ、ｄｓは教育関係へと巣立っていき、ナンのことはない、またしてもアンディ以外はオール・ニュー（ｄｓは以前にも参加経歴があるが）メンバーによる録音になっていたわけだ。大変だなあ、アンディ。で、これですが、前作が事前にしっかり作り込まれた感じが強かったのに対してバンドとしての勢いを感じさせる作風になっている。（それと前作はロジャー（Ｇ）がプレイしたベースがいかにもベーシストとしてはしろ〜とっぽいラインであったのに対して、今度はさすがは本職ベーシスト（しかもジャコ・パス・フリーク！）、いいベースラインです。・・・前作ももう少しお金と時間があれば、デモテープを聴いたマーティンが「俺がベースを入れ直してやる」と言っていたのですがね、残念。）

黄昏 / 大橋純子
　今年はいろいろと純子さんが「マイ・ブーム」（古っ！死語？）でした。ライヴに行ったり、あれこれと旧譜の中古を探したり・・・。で、そのピークがこのアルバムと下のアルバムの２枚のアメリカ録音盤（ＬＰ）でしょうか。こちらはＬＡ録音。ロベン・フォード、カルロス・リオス、ポール・ジャクソン・Ｊｒ．、リッキー・ローソン、エイブ・ラボリエル等いかにも当時のロスのスタジオに集まりそうな面々が集まっている。


Point Zero / 大橋純子
　で、こちらは上との対比と言う訳じゃないけど、ＮＹ録音。前作「黄昏」がきっちりと前もって準備されていたのに対し、こちらはＮＹに滞在し、スタジオで参加ミュージシャンのミュージシャンシップを尊重しながら制作する、というやりかたをとった。純子さんはこのアルバム制作でミュージシャンとしてのモチベーションが一つのピークに達し、その後が大いに期待されたが、残念ながらこのアルバムのレコーディングを最後にしばらくＮＹでの自分探しの生活に入ってしまい、’８８までは一般に対しては沈黙を保つことになる。
　また、このＬＰは新品在庫が手に入ったというエピソードとしても印象が深い。（世の中４０年以上も生きているといろいろなことがあるもんだ！）


微笑むための勇気 / 大橋純子
　そして上の２枚を十分に聴き込む前に新しいマキシ・シングルの発売。一年前の９１１にＮＹで突如起こった悲劇に対してＮＹへの強い想いのある純子さんの気持ちを込めたタイトル曲。クールです。優しい強さ、そんなものが表現された佳曲だと感じました。ヴァーナル化粧品のＣＭソングはちょっとモノラルＴＶ音質なのが残念。ま、ファンサービスのおまけという意味合いかなあ・・・。


Love makes the world / Carol King
　なんか今年は熟女シンガーの作品が熱いなあ。これなんかその極めつけみたいな作品です。もう還暦なんですって、キャロル？（録音は２年前だそうだが、そんなのは誤差範疇）　多感な時期の「タペストリー」を聴いて育った人たちは必聴！　多感だったころの自分を思い出すこと間違いなし。そんなこと、忘れちまったぜ、なんてうそぶいている人、あっさり化けの皮、剥がされちまいますぜ。


Full Moon Second / Buzz Feiten & Full Moon
　熟女ではないが、これまた熟年の爆発！　まさかまさかのフルムーン名義の新作。個人的にはデイヴ・ウェッケル・バンドで作り上げたバジー的フォーマットを応用して過去のフルムーンの発展型を想像して作り上げたもの、という感じがする。なによりもニール・ラーセンが「興味ない！」とむげに断ったという事実は残念以外の何者でもないが、バジーの頑張りと日本のレコード会社のプッシュに感謝したい。それとニールの件は残念だが、ウェッケル・バンドから引き続きサックスのブランダン・フィールズを起用しているのがすごく嬉しい。

Heartfelt / Fourplay
　単なる企画盤と思われ、続編なんか夢にも期待されなかったデビュー作からはや１０年以上が経過し、その間ギターがリー・リトナーからラリー・カールトンへ、なんていうアラン・ホールズワースとフランク・ギャンバレの早弾きエレキ合戦的共演アルバムと同レベルの酔っぱらいのたわ言的冗談人事異動もあった。で、ここへきてラリーもこのバンドでのご自分のポジションをしっかりと認識＆確保できたみたいで、フォープレイでのラリー流ブルージープレイも聴かれるようになってきた。４人以外のゲスト不採用ということも相まって結束が強くなったと感じられる作品。

Inspire / Casiopea
　ことしは２５周年だったカシオペア。しかしメンバーみな元気だ。最近は音楽以外の収入で喰っている向谷氏以外はバンド以外の音楽活動も充実していて、そういったいい影響がバンドにも反映されているんだろうな、とこのＣＤを聴いていても感じてしまう。録音スケジュールがタイトだったからよけいバンドとしての勢いが感じられるのかもしれないが、このメンバーで集まって一つの音楽を作るのが楽しい、と余裕をもって感じられるような境遇にメンバーがいるのではないのかな？

Indian Summer / Richard Peikoff and Buzz Feiten
　え？またバジーがらみ？　ことしのバジーはすごいよ。それまでの寡作ぶりから一転、一体何作リリースするんだろう、という感じの怒濤のリリースです。これは以前に楽器屋でプレイしているのを見て以来の知り合いでシーンに登場することのなかったアコースティック系ギタリストとのデュオ。澄んだ音の空間がすばらしい。またアコギ２本の深遠な世界に切り込むエレクトリックのフレーズもバジーならでは。すばらしい。やっぱ、スピーカー・キャビネットやギターのチューニングシステム作ってるだけじゃあバジーの真価を発揮しているとは言えませんな。ギターをプレイしてナンボの人でしょ？

Piano Anniversary / 国府弘子
　ストリングスをバックにしたクワイエット・チュ−ンによるオープニングに「ん？」となったが、その後はいつものヒロコ・ワールド。元気にさせてくれます。一曲目は「ワタシも結婚したんだから・・」となにか違いを表現したかったのかな？　あいかわらずいい作品を聴かせてくれました。・・・もう１５周年かあ・・・。


Drive / Russ Freeman
　リッピントンズを率いてスムース・ジャズの先駆者的立場にあるラスだが、これは企画盤をのぞけば実に久しぶりの「ノクターナル・プレイグラウンド以来十何年ぶりかのソロ作。
　アルバムの内容としてはいかにも！という感じのラスの曲想で心地よい。で、いつもならサックスなどがフロントに出るところをギタリストとしてのラスがギターでがんがん弾きまくっている。（といってももちろんハイテクの応酬というような疲れるものではないのはもちろんですが）

^{Vocal^2 / T. Square and friends}
　スクエアの曲のヴォーカリーズ。これは一時期に作られたものではなく、ほかのアルバムを制作しているときにエクストラとして録音しておいたものの寄せ集めという意味合いの作品のようで、事実リード奏者は伊東さんだけではない。というところから若干統一感に欠けるところもあるが、あまり気にならない。それよりもやっぱり安藤メロディの良さが歌ものにしても引き立っているという風に感じられました。でもだからといって、これから歌ものに走る、というのは避けたいけど・・・。

night and day / Kim Plainfield + Lincoln Goines
　マイク・スターンらとの共演で知られるちょっと地味目だが実力派のベーシスト、リンカーン・ゴーインズが自らの名を冠にした名義の（たぶん）初めてのアルバム。とはいってもキム平野（「ひらの」じゃないよ、plain+field）とのコラボレーションではありますが・・・。他に参加メンバーを見ると、ビル・コナーズ（Ｇ、クロスオーバーじゃ！）ミノ・シネル（per）、アダム・ホルツマン（key）、パット・スロール（Ｇ）ほか
　内容としては硬派で変調子を織り交ぜたクロスオーバー調が主体となっているが、いずれもゴリゴリすぎて途中からゲップが出てくるようなタイプとは違い、聴き応えがありながらリスナーを疲れさせないセンスの良さのようなものを感じる。気持ちいいです。

All Night Wrong / Allan Holdsworth
　自称レッド・ライト・シンドローム（lLiveでレコーディングのインジケーターが点いていると思うと萎えてしまうと言うことだそうだ）のアランの初めてのLiveレコーディング・アルバム。演奏はというと、ハイテク早弾きも相変わらずすごいんだけど、アルペジオみたいなコードプレイをしているときのメロディ部分とコード部分が別のギターで弾いているかのようにきこえるのがすごい。


GHS3 / Frank Gambale Stuart Hamm Steve Smith
　この顔ぶれでのレコーディングももう３枚目になる。スティーヴ・スミスの他流試合シリーズ。ほかのメンバーに比べてアンサンブルの良さのようなものを感じさせ、このままプロジェクトとしてツアーでもやってくれないかな？なんて思ってしまう。最近は同じくスティーヴとのプロジェクトであるVital Informationでのプレイがおとなしくなってしまってちょっとひずみ系早弾きギター小僧のアイドル的存在からと遠ざかってしまっていたが、この顔ぶれの時には話は別らしい。気分良く弾きまくっています。そのようなフランクのプレイが聴きたければ、このアルバムはオススメです。

Sacred Hills / Char
　チャーの最新作はギター・インスト。チャーのことだからもちろｎフュージョンなどではなくロックギター。ほとんどがチャーとジム・コプリーの二人で作られ、一部サポートミュージシャンが参加している。どれをとってもいいギターの音が聴ける。最近マッチレスからヒュース＆ケトナーに代えて、このアルバムはそれに弾かされた感もあるそうだ。ホントにいい音だ。ワールドカップに日本中が連日連夜一喜一憂していたときに平日の２２時前にニュースステーションのテーマとして流れてきた曲も収められている（構成は違うように思える）が、その時のことを思い出して、なんだかずいぶん前のことのように感じてしまった。それにしてもなんだか風景を感じられて、いいアルバムだなあ

Grapevine / Metro
　ＭＥＴＲＯとはチャック・ローブ（Ｇ）、ミッチェル・フォアマン（ｋｅｙ）のコンビにウルフギャング・ハフナー（ｄｓ）そしてベーシスト（毎回のように交代）が加わった４人組のフュージョン・ユニットだが、個人的にはチャックにとってのスムース・ジャズばかりつくって「溜まって」しまっているものを「抜ける」空間だと解釈している。実際、ここでのチャックは他ではまず聴かれないようなディストーションでの「伸ばした」プレイを披露しており、曲想もソロ作やプロデュース作品では聴かれないようなハードなものが多い。
この作品ではベーシストが交代しており、メル・ブラウンという人になった。この人の流派はもろにウィル・リー派とでもいって差し支えのないような音であり、ということはＭＥＴＲＯで初めてのスラップ系ベーシストとなる。アルバムとしての特徴は、いつものローブ、フォアマンによる作風の曲にサンプリングなどのサウンドをまぶし、元気なスラップ系ベースサウンドをボトムに配したという感じ。ただしボトムと言ってもウィル的な高音でのフレーズも随所に聴かれるため、これまでに比べるとベースの重心は高いように思えた。ま、しかしＭＥＴＲＯである。いつもながらに私の期待は裏切ることはないようだ。

Perpectual Motion / Dave Weckle Band
　元チック・コリア・エレクトリック（とアコースティック）・バンドの、という冠はもはや必要のないフュージョン界屈指のドラマーといえるデイヴのバンド名義の最新作。全作からギターのバジー・フェイトンが脱退し、フロントはブランダン・フィールズ一人となった。
　曲想は相変わらずメカニカルでテクニカル、かつグルーヴも、という感じの、これまでの同バンドの延長線上にある音。これまでの音が好きだったら「ハズレ」にはならんでしょう。

Sniper / 松原　正樹
　待ちに待ったＣＤ化！　もしかすると松っつぁんのアルバムの中で一番好きなのはこれかもしれない。鋭く切れ込む歪み系のソロと職人芸とでも言うべきカッティング、そして良質なＡＯＲと言って差し支えないヴォーカルチューン（歌はジェシ・バリッシュ）　いろんな意味で完成度も高い。とにかく大好き。　

Humarhythm II / 松原　正樹
　松っつぁんはフュージョン復刻ブームの再発ばかりじゃない！　見よ、ここに新作の発表！　松っつぁんの書くところに依れば、上記のＳｎｉｐｅｒ（うっ！ワシントンＤＣに出張で行く少し前まではその言葉、聞きたくなかった！）リリースの頃に生まれたような人も含まれているとか。そう言う人たちから生命力をいただいて若々しくプレイが出来るとか。
　で、プレイですが、もうもろに今の「素」の松っつぁんのプレイが楽しめます。一時期ずいぶんとエフェクターによる音づくりに向かったような気がしたが、前作と言いこれといい、３３５のセミアコならではのサウンドろ中心に置き、アコギやソリッド系のおとをきらびやかに配して、松っつぁん’ｓ・ギター・サウンド・ワールドが作り上げられています。うう、快感！

Tracks / Wishbone Ash
　ウィッシュボーン・アッシュの公式サイトから到着したインフォ・メールによって知った未発表ライヴ音源集。なかなか店頭には出ないだろうからサイトの勧めに従ってオンラインで買った。２枚組です。で、内容なんですが、もうたまりませんな、これ！’７２〜２００１の間のいろいろなライヴ・トラックスが収められているのですが、おなじみの曲の数々とともになかなかこれまでライヴ・テイクが出回らなかった曲もいろいろと収められています。内容の詳細は公式サイトを訪問してみてください。
　で、その出来ですが、まあところどころミスタッチなんかもあるものの、音質はいいし、よくぞリリースしてくれました！と言いたくなる内容。（音質だけ言えば、最近の「びっくり！」であるフルムーンのライヴに比べれば１００倍いい音です。

Roots / Gregg Rolie
　わが音楽おたく仲間のカルロスちゃんからの情報で知った、元サンタナの、というべきか元ジャーニーの、と言うべきか、グレッグ・ローリーの最新ソロアルバム。一曲だけニール・ショーンが参加。
作風は、というと何しろタイトルがルーツってくらいだからグレッグのルーツであるラテンロック満開！　私の好きな Abraxas Pool と同系統だが、あちらには最近のニールの趣味かと思われるヒーリング的要素が若干入り込んでいたのに対し、こちらは直球勝負のラテンロック。ちょっとストリングス（キーボード）の音がチープだったりするけども、トータルで見てお気に入りの一枚です。

...this is now / Eddie Daniels
　私の好きなジャズ・フュージョンクラリネット（とサックス）奏者のエディ・ダニエルズの９１年ＧＲＰからの作品。比較的アコースティック・ジャズ的な作風で、その前のフュージョン風の作品が好きだった私は手を出さなかったのだと思う。ピアノのビリー・チャイルズとの共同プロデュース。作品もエディとビリーが殆どを書き、それ以外は過去のジャズのナンバーを採り上げている。思ったよりもエレクトリックのフュージョン風作品とのギャップが少なくて、何の抵抗もなく受け入れられる作品だった。この後の作品はもう少しアコースティック色が強くなっていたので、過渡期的作品と考えるべきなのだろう。

Cool Nights / Gary Burton
　ビブラフォン奏者ゲイリー・バートンの９０年代前半の作品。聴いてみるとなんだかこの前の年かなんかにリリースされているＲＥＵＮＩＯＮというパット・メセニーやミッチ・フォアマンらとやったセッションとまったく同路線！リズムは同じメンバー（ウィル・リーとピーター・アースキン）が揃ったが、フロントにパットが来られなかった（ウルフギャング・ムースピール）のでせめてピアノにもうちょっとハク付けるかってな感じでボブ・ジェイムズを呼んでみましたみたいな雰囲気。でもきこえてくるのはほとんどＲＥＵＮＩＯＮの音そのままで、たまにボブやウルフギャングがミッチェル・フォアマンやパットとちょっと違う音を出したときに「ああ、違うメンバーだったのネ」と思い出させられる程度。
　ということで、ＲＥＵＮＩＯＮが好きな私としては同様に好きなアルバムになりました。

December / Chris Botti
　若手（だよなぁ？）トランペッター、クリス・ボッティのクリスマスアルバム。今年の新録らしい。共演者を覗いてみると・・・おお、帰りの飛行機で会ったデイヴ・カーペンターがいるではないか！　ほかにはピーター・アースキンやヴィニー・コリウタ、ビリーチャイルズなど。ストリングス系のコンダクターは、あのブランダン・フィールズのガールフレンドか奥さんだと私が勝手に思っているジーナ・クロンスタット（って読むのかよくわからない）、そしてブランダン自身もおつきあいなのか、一曲参加している。
　クールでいい感じですよ。ヴォーカルは特にどうこういう感じではないけど、誰かに似てるなぁと思っていたら、ニール・ラーセン（ソロ・アルバムで唄っている）に似ているような気がする。今年のクリスマス盤の中でお勧めの一枚。

badlands / Erskin Pasqua Carpenter
　ＬＡからの帰りのＡＮＡの機内知り合ったベーシストのデイヴ・カーペンターに教えてもらったアラン・パスクァと一緒に演奏しているアルバム。アランの静かなピアノをベースとしたトリオ作品で、デイヴは全部アコースティックをプレイしている。楽しい、というタイプではなくしっとりと静かに愉しみたいタイプの音楽。デイヴとの出会いの記念のアルバムとしても憶えておきたい。

Dreams / Carmen Cuesta Loeb
　私の大好きなチャック・ローブの奥様で、チャックの作品のなかには必ずと言っていいほどスキャットで参加しているあの人です。前作が大のお気に入りでいまでもしょっちゅう聴いているのにそれからさほどインターバルを置かずの新作リリースだったので本当に嬉しい限り。参加はもちろんダンナさんと、そのほかＭ．ブレッカー、ティル・ブレナー(tp)、ボブ・ジェイムズ、ウィル・リー、ジョン・パティトゥッチ等すごすぎる顔ぶれ。曲は何曲かのカバー以外は殆どカーメンの作品で、そっちのセンスもすごい。相変わらず浮遊間漂う作風で、しばし身を任せると本当に気持ちいい。

ニッポンのロックギタリスト / 大村憲司
　なんだかかつての「寺ヘン」の中のギター侍みたいなジャケットですが、一連のニッポンのロックギタリストシリーズの中の一枚、私も大好きな憲司さんのもの。ギターワークショップのライヴで演奏されたけどレコードに収まらなかったバンブー・ボンブは本当に凄かった。その曲以外だと、正直多少の当たりはずれはあるように思えたけど、今この時期にこういうものを発掘音源と共にリリースしてくれたのには拍手を贈りたい。（鈴木茂さんの方は収録時間が短かったり、内容も？？？でしたが・・・）

Christmas Greetings / 鳥山雄司
　なんだかちょっと遅すぎるんじゃない？って言いたくなるような時期に店頭で見つけた鳥山さんのクリスマスアルバム。最近の鳥山さんのアルバムはプロデューサーとしてかなりスケールの大きな手腕をふるっていながら、しっかり自分のギタリストとしてのポジションを確保してあって、ギタリスト鳥山雄司を聴きたくてＣＤを買ったファンをも裏切らないところがすばらしいと思う。このクリスマスアルバムもそういう最近の鳥山さんの作風そのものだと思います。

October Road / James Taylor
カーオーディオ専門誌、Auto Sound の中にお薦めＣＤのコーナーで「最近毎晩帰宅する車の中でかけるのはこれだった」、というコメントを見て、包まれるような暖かい音を期待しつつ買ったらその期待そのままの内容だったというジェイムズ・テイラーの最新盤。ほっとした時間をだれかからもらいたかったらお薦め。ランドゥの歌バンのうまさも聴ける。

An Affair to Remember / 松岡直也
　和田アキラファンにとっては涙なしには聴けない、松岡さんのアニバーサリー・アルバム。ということで私的なＨＰなのをいいことに和田ファンの立場から語ってしまいましょう。　これは和田さんがあの入院をしてから退院する前にレコーディングされた作品なんですが、そんなことを感じさせないプレイを聴かせてくれていて、和田さんのプロとしてのすごさを感じざるを得ないわけです。以前の松岡さんの作品に見られたメロディの良さ、ノリがあまり良くないように感じられるんですが、和田さんのプレイはそれを見事にカバーしているようにきこえると言ったらファンとしての偏りが過ぎるでしょうか？和田さんのプレイとしてはそれこそ、ベスト○○に入る出来、というほどではないけど、ところどころに早いパッセージもちりばめられていて、若干抑えめの日の和田さん、という感じ。とにかく和田ファンにとっては一つの記録として価値ある一枚。

Queen's Fellow (Yuming 30teh anniversary cover album / V.A
　ユーミンの３０周年記念で制作されたカバーアルバム。鬼束ちひろからキリンジ、スピッツ、マッキー、小野リサ、等々すごいメンツがそれぞれの持ち味をいかしてユーミンの曲をカバー。かなり制作側からの注文もはいっているんじゃないかな？それぞれの参加メンバーがあまりにもかっちりとはまりすぎていて・・・。それだけ良くできたカバー・アルバムということです。

When October Goes / 山中千尋trio
　殆どジャズライフの記事の写真（と本文）で買おうと思った一枚。もちろん澤野工房の日本人リリースということにも興味はあったけど、それだけじゃたぶん買わなかった。ファーストの評価、ＮＹをベースに活動しているというスタンス、それと全然似つかわしくないあどけない、と言ってもさしつかえないぱっちりとした瞳が印象的なマスク・・・。すごっく興味があって、聴いてみてびっくり。こりゃ凄いピアニストでした。今後の展開も期待できます。

///// これにて打ち止めです。２００２もいろいろと聴いたモンです//////